技の研究

 

起こり技 〜出端技〜

相互の攻め合いの中で、相手が動作を起こす瞬間を打突する技で、相手が動作を起してから打突するのではありません。この起こり技の代表的なものとして、出端技があります。

 

出端面:

一足一刀の間合いから、相手が打突しようとして動き始める瞬間、又は相手が間合いを詰めようとして一歩入って来る瞬間、相手の動作の起こりを察知して、相手が動作を起す瞬間に面を打突します。相手が前に出てくるので大きな踏み込みは必要ありません。小さく早く打突することを心掛けて下さい。ポイントとしては、常に相手を打てる姿勢を作り、相手の動作の起こりを逃さずに思い切り良く打突することです。

 

出端小手:

一足一刀の間合いから、相手が面を打突しようとして動き始める瞬間、相手の動作の起こりを察知して、相手が動作を面の動作を起す瞬間に右小手を打突します。相手が前に出てくるので大きな踏み込みは必要ありません。小さく早く打突することを心掛けて下さい。横に逃げながらの打突では当たり難くく、例え打突出来ても体が開いている分相手の面打ちに打ち負けてしまうので、

しっかりと前に出て打突します。

ポイントとしては、常に相手を打てる姿勢を作り、相手の動作の起こりを逃さずに打つことです。

打突後は右開き足を使い、体を捌き相手の面のコースから逃れ、体当たりされるのを避けます。

 

 

相手の構えに対しての技(仕掛け技):自分から先手を取って仕掛ける技です。

    払い技

      担ぎ技

 

○払い技:相手の構えに隙が無い場合、相手の竹刀に力を加え、相手の構えを崩す代表的な技の一つです。

基本動作

@    表からの払い上げ:

一足一刀の間合いで相中段に構え、剣先を右斜め下に下げます。その後左足を右足に引き付けながら(左足は右足の位置まで引き付ける)、竹刀の物打ちの表(自分から見て左側)で相手の竹刀(出来るだけ深い位置)を払い上げます。払った後、相手の竹刀は中心から外れ、自分の竹刀が中心に残るようにします。

払い上げる際はリラックスした状態から、手首と手の内のスナップを使って出来るだけ小さく行います。肘が伸びきった状態からだと動作が大きくなり過ぎるので注意して下さい。

 

A    裏からの払い上げ:

一足一刀の間合いで相中段に構え、相手の竹刀の下を通って剣先を左斜め下に下げます。その後左足を右足に引き付けながら(左足は右足の位置まで引き付ける)、竹刀の物打ちの裏(自分から見て右側)で相手の竹刀(出来るだけ深い位置)を払い上げます。払った後、相手の竹刀は中心から外れ、自分の竹刀が中心に残るようにします。

払い上げる際はリラックスした状態から、手首と手の内のスナップを使って出来るだけ小さく行います。肘が伸びきった状態からだと動作が大きくなり過ぎるので注意して下さい。

 

B    表からの払い落とし:

一足一刀の間合いで相中段に構え、左足を右足に少し引き付けながら(右足の真ん中くらいまで)、剣先を右斜め上に上げます。その後右足を小さく踏み出しながら、竹刀の物打ちで相手の竹刀(出来るだけ深い位置)を右斜め上から左斜め下へ払い落とします。払った後、相手の竹刀は中心から外れ、自分の竹刀が中心に残るようにします。

払い落とす際はリラックスした状態から、手首と手の内のスナップを使って出来るだけ小さく行います。肘が伸びきった状態からだと動作が大きくなり過ぎるので注意して下さい。

 

C    裏からの払い落とし:

一足一刀の間合いで相中段に構え、左足を右足に少し引き付けながら(右足の真ん中くらいまで)、剣先を相手の竹刀の下を通って左斜め上に上げます。その後右足を小さく踏み出しながら、竹刀の物打ちで相手の竹刀(出来るだけ深い位置)を左斜め上から右斜め下へ払い落とします。払った後、相手の竹刀は中心から外れ、自分の竹刀が中心に残るようにします。

払い落とす際はリラックスした状態から、手首と手の内のスナップを使って出来るだけ小さく行います。肘が伸びきった状態からだと動作が大きくなり過ぎるので注意して下さい。

 

払い面(表から払い上げ):上記@の後、相手の面を打ちます。

払い面(裏から払い上げ):上記Aの後、相手の面を打ちます。

払い面(表から払い落とす):上記Bの後、相手の面を打ちます。

払い小手(裏から払い上げ):上記Cの後、相手の小手を打ちます。

○担ぎ技:相手の意表をついた技です。担ぎ技を使っても相手の構えが崩れなかった場合、担いだ瞬間を簡単に打突されてしまうので、使う前に相手を十分攻めプレッシャーを与えておく必要があります。お互いに技を出し尽くして膠着した状態、または、立会いの始めなど相手の意表をつく瞬間に有効です。あまり繰り返し使っては効果がありません。

 

基本動作 

@左に担ぐ (オーソドックス):中段の構えから、左肩の上に竹刀を担ぎ上げます。

A右に担ぐ:中段の構えから右肩の上に竹刀を担ぎ上げます。

 

担ぎ面:

一足一刀の間合いで相中段に構え、機を見て剣先を左斜め上に振り上げつつ、右足から踏み出します。左肩上に素早く担いだ時に、相手が右小手を守ろうとするか、または驚いて後退し間合いを取ろうとしたら、しっかりと担ぎながら左足を引き付けます。そして、左足で床を蹴って右足から踏み出し、左肩から面に振り下ろし、踏み込みと同時に面を打ちます。

 

担ぎ小手:

一足一刀の間合いで相中段に構え、機を見て表又は裏から相手の剣先を押さえ、突きを攻めます。相手が突きを防ごうとして手元を上げた瞬間に右足を踏み出しつつ素早く竹刀を左肩に担ぎ、左足を引き付けながら相手の右小手を打ちます。担ぎ小手の場合、一般的に踏み込みを行いません。

 

担ぎ胴:

一足一刀の間合いで相中段に構え、機を見て表又は裏から相手の剣先を押さえ、突きを攻めます。相手が突きを防ごうとして手元を高く上げた瞬間に右足を踏み出しつつ素早く竹刀を左肩に担ぎ、左足を引き付けながら相手の右胴(自分から見て相手の左側)を打ちます。担ぎ胴の場合、一般的に踏み込みを行いません。

 

担ぎ逆胴:

一足一刀の間合いで相中段に構え、機を見て表又は裏から相手の剣先を押さえ、突きを攻めます。相手が突きを防ごうとして手元を高く上げた瞬間に右足を踏み出しつつ素早く竹刀を右肩に担ぎ、右足が着地と同時に左足を左斜め前に出し、左足を支点にし右足を引き付けつつ相手の左胴(自分から見て相手の右側)を打ちます。担ぎ逆胴の場合、一般的に踏み込みを行いません。

 

 

相手の技に対する応じ技:相手が先に仕掛けてきた時に応じて打突する技です。

    抜き技

    返し技

    刷り上げ技

    打ち落とし技

 

    抜き技:相手が打突してくる竹刀を完全に空を切らせて抜き外し、その時の相手の隙を捉えて打つ技です。相手の竹刀に自分の竹刀を触れさせないで行います。

 

基本動作 

@    上に抜く:一足一刀の間合いで相中段に構え、相手が踏み込んで右小手を打ってくる瞬間、相手の竹刀が小手に当たる寸前に素早く振り上げ、上に相手の打ちを抜き攻撃に転じます。初心者は慣れるまで一歩後退しつつ行うと良いでしょう。

 

A    下に抜く:一足一刀の間合いで相中段に構え、相手が踏み込んで右小手を打ってくる瞬間、相手の竹刀が小手に当たる寸前に素早く手元を下げて相手の打ちを抜き攻撃に転じます。初心者は慣れるまで一歩後退しつつ行うと良いでしょう。

 

B    後ろに抜く:一足一刀の間合いで相中段に構え、相手が踏み込んで各部位を打突してくる瞬間、素早く左足より一歩後退して相手の打ちを抜き攻撃に転じます。この時姿勢を崩したり、構えを崩したりしないようにしましょう。

 

C    左に抜く(右に開く):一足一刀の間合いで相中段に構え、相手が踏み込んで面、又は突きを打突してくる瞬間、素早く右足を右前方に開き左足を引き付け相手の打突を抜き攻撃に転じます。体を右前方に開いた時に自分の体が相手に正対するようにしましょう。

 

D    右に抜く(左に開く):一足一刀の間合いで相中段に構え、相手が踏み込んで面、又は突きを打突してくる瞬間、素早く左足を左前方に開き右足を引き付け相手の打突を抜き攻撃に転じます。体を左前方に開いた時に自分の体が相手に正対するようにしましょう。

 

面抜き胴:

一足一刀の間合いで相中段に構え、相手が面打ちに来るのを予知します。この時構えを崩さないようにします。そして、相手が面打ちに来るのに対応し、素早く振り上げ右足から右斜め前方に体を開き始め、右足を右斜め前方に踏み込むと同時に、相手の面打ちを抜き、右胴を打突します。打突後、体をすれ違えて相手に正対して構え残心を示します。

 

面抜き左面(右に開く)

一足一刀の間合いで相中段に構え、相手が面打ちに来るのを予知します。この時構えを崩さないようにします。そして、相手が面打ちに来るのに対応し、素早く振り上げ右足から右斜め前方に体を開き始め、体を左に捻りながら体を相手に正対させ、右足を右斜め前方に踏み込むと同時に、相手の面打ちを抜き、面を打突します。面を打突する際には相手の面の上から乗るような気持ちで左面を打ちます。

 

 

面抜き右面(左に開く)

一足一刀の間合いで相中段に構え、相手が面打ちに来るのを予知します。この時構えを崩さないようにします。そして、相手が面打ちに来るのに対応し、素早く振り上げ左足から左斜め前方に体を開き始め、体を右に捻りながら体を相手に正対させ、右足を引き付けると同時に、相手の面打ちを抜き、面を打突します。面を打突する際には相手の面の上から乗るような気持ちで左面を打ちます。この打突の際には一般的に踏み込みは行いません。

 

面抜き面(後方に抜く)

一足一刀の間合いで相中段に構え、相手が面打ちに来るのを予知し、左足から退き始めます。そして、相手が面打ちに来るのに対応し、構えを崩さずに素早く後方に引いて相手の面打ちを抜き、

直ちに右足から踏み込みながら相手の正面を打ちます。後方に退く際に姿勢を崩さないように注意してください。この技は、足捌きや手の内が悪く、技を抜かれた後に竹刀を下まで振り下ろし体が沈む相手に有効です。

 

面抜き小手(左に開く:

一足一刀の間合いで相中段に構え、相手が面打ちに来るのを予知します。この時構えを崩さないようにします。そして、相手が面打ちに来るのに対応し、素早く振り上げ左足から左斜め前方に体を開き始め、体を右に捻りながら体を相手に正対させ、右足を引き付けると同時に、相手の面打ちを抜き、右小手(自分から見て左側)を打突します。この打突の際には一般的に踏み込みは行いません。

 

小手抜き面(上に抜く)

一足一刀の間合いで相中段に構え、相手が右小手打ちに来る瞬間に素早く頭上に振り上げて相手の右小手打ちを抜きます。そして、直ちに右足から小さく踏み込みながら相手の正面を打ちます。初心者は相手の右小手打ちを抜く際に、若干後方に退きながら行うとより簡単に行えます。

 

    返し技:返し技とは相手の打突に対し、自分の竹刀で相手の打突を受け止め、手を返し相手を打突する技です。返し技では応じた竹刀の反対側の相手の部位を打突します。応じる動作と打つ動作を連動させ一拍子で行うことが大切です。

 

基本動作 @表で返す (オーソドックス):相手の打突を自分の竹刀の左側で応じて技を返します。

     A裏で返す:相手の打突を自分の竹刀の右側で応じて技を返します。

 

面返し胴(表で受け、右に開く)

一足一刀の間合いで相中段に構え、相手が面打ちに来るのを構えを崩さずに予知します。相手が面を打ちに来る瞬間に剣先を上げつつ相手の竹刀を自分の方に引き込む感じで自分の竹刀の表(自分の竹刀の左側)で相手の打ちを受け止めます。受け止めと同時に素早く右足を右斜め前に踏み込みながら、相手の右胴(自分から見て相手の左側)を打突します。

 

面返し逆胴(裏で受け、左に開く)

一足一刀の間合いで相中段に構え、相手が面打ちに来るのを構えを崩さずに予知します。相手が面を打ちに来る瞬間に右足を前に出しながら剣先を上げつつ相手の竹刀を自分の方に引き込む感じで自分の竹刀の裏(自分の竹刀の右側)で相手の打ちを受け止めます。

 

受け止めと同時に前に出した右足の右側側面で床を左方向に蹴り左足を左側に移動させながら相手の左胴(自分から見て相手の右側)を打突し、移動した左足の位置を基本とした構えの足幅に右足を移動させます。

 

小手返し面(表で受ける)

一足一刀の間合いで相中段に構え、相手が小手打ちに来るのを構えを崩さずに予知します。相手が小手を打ちに来る瞬間に剣先を右下に半円を描くように移動させ、自分の竹刀の表(自分の竹刀の左側)で相手の小手打ちを受け止めます。受け止めると同時に右足を踏み出しながら、相手の打突の力を利用して手首を回転させ相手の面を打突します。

 

打突の際は相手が前に出てくるので、通常の踏み込みでは相手との間合いが近くなってしまいます。ですので、踏み込みは小さく行うとスムーズに打突できます。

 

小手返し小手(表で受ける)

一足一刀の間合いで相中段に構え、相手が小手打ちに来るのを構えを崩さずに予知します。相手が小手を打ちに来る瞬間に剣先を右下に半円を描くように移動させ、自分の竹刀の表(自分の竹刀の左側)で相手の小手打ちを受け止めます。受け止めると同時に右足を踏み出しながら、相手の打突の力を利用して手首を回転させ相手の小手を打突します。

 

打突の際は相手が前に出てくるので、通常の踏み込みでは相手との間合いが近くなってしまいます。ですので、踏み込みは小さく行うとスムーズに打突できます。

 

    すり上げ技:すり上げ技とは、相手の打突に対し自分の竹刀を振り上げる過程で応じ半円を描くようにすり上げ、打突してくる相手の竹刀を無効にして相手を打突する技です。すり上げ技では応じた竹刀と同じ側の相手の部位を打突します。すり上げ終わった時には、直ちに相手を打突できる体勢が出来ていなければいけません。

 

基本動作 @表ですり上げる:相手の竹刀を自分の竹刀の左側で応じ、すり上げます。

 

     A裏ですり上げる:相手の竹刀を自分の竹刀の右側で応じ、すり上げます。

 

面すり上げ面(表ですり上げ、右斜め前に開く)

一足一刀の間合いから、相手の面打ちを予知し、剣先を少し右上に移動し、応じる体勢に入ります。相手の面打ちを自分の竹刀の左側を使って左上に弧を描きながらすり上げます。すり上げると同時に右足を右斜め前方に踏み込みながら、体を相手に正対させ相手の面を打突します。

 

面すり上げ面(裏ですり上げ、左斜め後方に開く)

一足一刀の間合いから、相手の面打ちを予知し、剣先を少し左上に移動し、応じる体勢に入ります。相手の面打ちを自分の竹刀の右側を使って右上に弧を描きながらすり上げます。すり上げると同時に左足を左斜め後方に移動させながら、体を相手に正対させ相手の面を打突します。打突時に引き技と同じ要領で踏み込みながら左斜め後方に下がります。

 

面すり上げ小手(裏ですり上げ、左斜め後方に開く)

一足一刀の間合いから、相手の面打ちを予知し、剣先を少し左上に移動し、応じる体勢に入ります。相手の面打ちを自分の竹刀の右側を使って右上に弧を描きながらすり上げます。すり上げると同時に左足を左斜め後方に移動させながら、体を相手に正対させ相手の右小手を打突します。打突時に引き技と同じ要領で踏み込みながら左斜め後方に下がります。

 

小手すり上げ面(裏ですり上げる)

一足一刀の間合いから、相手の右小手打ちを予知し、剣先を上げることなく、応じる体勢に入ります。相手の小手打ちを自分の竹刀の右側を使って右上に弧を描きながらすり上げます。すり上げると同時に右足を前方に小さく踏み込みながら、相手の面を打突します。

 

小手すり上げ小手(裏ですり上げ、左斜め後方に開く)

一足一刀の間合いから、相手の右小手打ちを予知し、剣先を上げることなく、応じる体勢に入ります。相手の小手打ちを自分の竹刀の右側を使って右上に弧を描きながらすり上げます。すり上げると同時に左足を左斜め後方に移動させながら、体を相手に正対させ相手の右小手を打突します。打突時に引き技と同じ要領で踏み込みながら左斜め後方に下がります。

 

突きすり上げ面(表ですり上げる)

一足一刀の間合いから、諸手突き(両手での突き技)を予知し、剣先を上げることなく、応じる体勢に入ります。相手の諸手突きを自分の竹刀の左側を使って左上に弧を描きながらすり上げます。すり上げると同時に右足を前方に踏み込みながら、相手の面を打突します。

 

突きすり上げ面(裏ですり上げる)

一足一刀の間合いから、諸手突き(両手での突き技)を予知し、剣先を相手の竹刀の下から回して相手の竹刀の左側に自分の竹刀を移動させ、応じる体勢に入ります。相手の諸手突きを自分の竹刀の右側を使って右上に弧を描きながらすり上げます。すり上げると同時に右足を前方に踏み込みながら、相手の面を打突します。

 

 

    打ち落とし技:打ち落とし技は、相手の打ち込んでくる竹刀を左斜め下・右斜め下に打ち落として崩し、相手に生じた隙を捉えて打突する技です。

 

基本動作 @表に打ち落とす:相手の打突してくる竹刀を、自分の竹刀の表で、右上から左下に打ち落とします。

     A裏に打ち落とす:相手の打突してくる竹刀を、自分の竹刀の裏で、左上から右下に打ち落とします。

 

面打ち落とし面(表に打ち落とし、右に開く)

一足一刀の間合いから、相手の面打ちを予知し、剣先を少し右上に移動し、打ち落とす体勢に入ります。相手が面打ちにくる竹刀の鍔元を物打ちの部分で左下に打ち落とします。打ち落とすと同時に右足を右斜め後方に開きます。相手の面を打突と同時に左足を後方に引き付け、同時に踏み込み右斜め後方に下がります。

 

面打ち落とし面(裏に打ち落とし、左に開く)

一足一刀の間合いから、相手の面打ちを予知し、剣先を少し左上に移動し、打ち落とす体勢に入ります。相手が面打ちにくる竹刀の鍔元を物打ちの部分で右下に打ち落とします。打ち落とすと同時に左足を左斜め後方に開きます。相手の面を打突と同時に踏み込み左斜め後方に下がります。

 

小手打ち落とし面(裏に打ち落とす):

一足一刀の間合いから、相手の右小手打ちを予知し、剣先を少し上に移動し、打ち落とす体勢に入ります。相手が右小手打ちにくる竹刀の鍔元を物打ちの部分でその場で踏み込みながら右下に打ち落とします。打ち落とすと同時に小さく右足から踏み出しながら相手の面を打突します。

 

胴打ち落とし面(裏に打ち落としす)

一足一刀の間合いから、相手の右胴打ちを予知し、剣先を少し上に移動し、打ち落とす体勢に入ります。相手が右胴打ちにくる竹刀の鍔元を物打ちの部分でその場で踏み込みながら右下に打ち落とします。打ち落とすと同時に小さく右足から踏み出しながら相手の面を打突します。

 

 

    正しい“鍔競り合い”の仕方

一足一刀の間合いからお互いに近づいていき、そのままお互いの鍔と鍔が触れ合う位置で構えた形を“鍔競り合い”と言います。構えの位置から左手の位置が変わらないのが正しい鍔競り合いです。

手の位置が高すぎたり、相手との距離が近すぎたり、自分の竹刀が右側に開いていたり、自分の竹刀を相手の肩の上に置いていたり、してはいけません。相手の体に刃部が触れないようにし、左手の位置が構えの位置から変わらないように注意してください。

“鍔競り合い”で休んでいる人を良く見かけますが、実際の刀を使った場合、刃部が一番体に近いもっとも緊張した場面になります。現代剣道でも同様に、緊張感を持ち、常に相手の打突の好機を逃さずに打突するように心掛けてください。

 

鍔競りからの技

 

    表崩し:正しい鍔競り合いの状態から右に開き足をしながら、体を左側に捻り相手に正対します。体を捻る力を利用して、竹刀に体重を乗せ相手を自分の左後方に押します。相手が押されて間合いが出来ることを表崩しと言います。表崩しを行う際は、体の捻る力を利用し、腰から相手を押すようにします。腕の力のみで相手を押してしまうと、押した際に腕が伸びきってしまい次の打突がスムーズに行えません。基本的に鍔競り合いの位置から足捌きのみでこの動作を行うように心掛けてください。

 

    裏崩し:正しい鍔競り合いの状態から表から小さく軽く、相手の鍔元を左、または左下に押します。相手が押し返してくる瞬間、左に開き足をしながら、右拳を軸にして左拳で相手の右小手の筒部を押します。押した反動を利用して相手と間合いができることを裏崩しと言います。その際に腕の力で押すのではなく、左に体を捻る力を利用して腰から相手を押すようにします。腕の力のみで相手を押してしまうと、押した際に腕が伸びきってしまい次の打突がスムーズに行えません。基本的に鍔競り合いの位置から足捌きを使って移動し、その際に相手に正対するための体の捻りを利用することを心掛けてください。

 

    下崩し:正しい鍔競り合いの状態から相手のつばの上に自分のつばをのせ、上からのしかかるように相手の竹刀を押し下げます。相手が竹刀を元の状態に戻そうと押し上げてくる力を外してかわしと相手は押し返した反動で手元が上がります。これを下崩しと言います。

 

表崩しから表の引き面:

鍔競り合いの状態から表崩しを行い、相手が特に反応の無い場合、相手の左面(表。自分から見て相手の右面)が空いているので、その位置から相手の左面を打ちながら下がっていきます。相手の反撃の届かない位置まで素早く下がり、相手に対して中段に構え残心をとります。

 

表崩しから裏の引き面:

鍔競り合いの状態から裏崩しを行い、相手が押し返してきた場合、左へ回りながら相手の押し返す力をかわし竹刀を裏へ回し相手の右面(裏。自分から見て相手の左面)を打ちながら左斜め後方へ下がっていきます。相手の反撃の届かない位置まで素早く下がり、相手に対して中段に構え残心をとります。

 

裏崩しからの引き右小手:

鍔競り合いの状態から裏崩しを行い、相手の右小手空いた場合、素早く右引き小手を打って下がります。引き小手を打ったままの形で後ろへ下がり、相手の反撃の届かない位置まで下がったら、相手に対して中段に構え残心をとります。引き小手を打ったあと、相手の反撃に備えるために、必要以上に竹刀を引き上げず、体の位置が常に相手に正対しながら下がるように注意します。

 

表崩しからの引き胴:

鍔競り合いの状態から表崩しを行い、相手が手元を上げて防御しようとした場合、相手の右胴(自分から見て相手の左側の胴)が空いているので、その位置から相手の胴を打ちながら下がっていきます。相手の反撃の届かない位置まで素早く下がり、相手に対して中段に構え残心をとります。

 

下崩しからの引き胴:

鍔競り合いの状態から下崩しを行い、相手が面を防御しようと手元を上げた場合、相手の右胴(自分から見て相手の左側の胴)が空いているので、その位置から相手の胴を打ちながら下がっていきます。相手の反撃の届かない位置まで素早く下がり、相手に対して中段に構え残心をとります。

 

表崩しからの引き逆胴:

鍔競り合いの状態から表崩しを行い、相手が手元を上げて防御しようとした場合、相手の逆胴(自分から見て相手の右側の胴)が空いているので、その位置から相手の逆胴を打ちながら下がっていきます。相手の反撃の届かない位置まで素早く下がり、相手に対して中段に構え残心をとります。

引き逆胴を打つ場合剣先をしっかりと振り抜き、左脇が空かないようにしっかりとしめ、相手から眼を離さず、右肩から剣先までを一直線にして、竹刀の弦が右斜め上を向くようにします。

 

裏崩しからの引き逆胴:

鍔競り合いの状態から裏崩しを行い、相手が手元を上げて防御しようとした場合、相手の逆胴(自分から見て相手の右側の胴)が空いているので、その位置から相手の逆胴を打ちながら下がっていきます。相手の反撃の届かない位置まで素早く下がり、相手に対して中段に構え残心をとります。

引き逆胴を打つ場合剣先をしっかりと振り抜き、左脇が空かないようにしっかりとしめ、相手から眼を離さず、右肩から剣先までを一直線にして、竹刀の弦が右斜め上を向くようにします。

 

引き技応用

引き胴フェイント引き面:

鍔競り合いの状態から相手の胴(右胴)を打つフリをします(フェイントをしかけます)。相手が胴のフェイントに反応して竹刀を下げて胴をかばおうとした瞬間に、空いている面を下がりながら打突します。相手の反撃の届かない位置まで素早く下がり、相手に対して中段に構え残心をとります。

 

引き逆胴フェイント引き面:

鍔競り合いの状態から相手の逆胴(左胴)を打つフリをします(フェイントをしかけます)。相手が胴のフェイントに反応して竹刀を下げて胴をかばおうとした瞬間に、空いている面を下がりながら打突します。相手の反撃の届かない位置まで素早く下がり、相手に対して中段に構え残心をとります。

 

引き担ぎ技フェイント引き面:

鍔競り合いの状態から担ぎ技と同様に竹刀を担ぎます(フェイントをしかけます)。相手が担ぎ技の動作に反応し竹刀を押さえようと竹刀を前に延ばした瞬間に、空いている面を下がりながら打突します。相手の反撃の届かない位置まで素早く下がり、相手に対して中段に構え残心をとります。


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